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【モンキー・パンチ】は宮崎駿『カリオストロの城』を肯定?否定?真相は?

『ルパン三世』の原作者・モンキー・パンチ氏が2019年4月11日、肺炎のため81歳で死去。モンキー・パンチ氏は宮崎駿監督の『カリオストロの城』を肯定?否定?誤解も?真相は?宮崎監督にとって『カリオストロの城』は?またモンキー・パンチ氏の96年・07年・15年インタビューから、ひも解いていきます。

宮崎監督にとって『カリオストロの城』は?


まずは、宮崎駿監督にとってはどういう作品だったのか、見ていきましょう。

1979年に公開され、今でも根強いファンが多く人気、海外でも知名度の高い『カリオストロの城』。ルパンといえばこの映画を思い起こす方も多いのではないでしょうか?

大人向けのキャラクターの印象が強かったルパンが、この映画で子ども達や年配の方たちからも愛されるキャラクターへと印象を変えたとも言われています。

この映画、実は当初は、大塚康生氏に監督依頼がきたものの気乗りがせず、宮崎駿に監督就任の要請がいったそうです。

宮崎氏は当時、日本アニメーションで高畑勲氏らと『赤毛のアン』を担当していましたが降板し、その要請を受けました。

『カリオストロの城』は宮崎監督が小学生の時に思いついた話で、やってみてかなりいいところまでいけたけど、最後の最後に妥協も多くダメージがあった、とインタビューでは語っています。

予算も時間も少なく、なんと、たった4ヶ月で作ってしまった映画なんだそうです。

作品の締めに間に合わせないといけず、妥協しなければいけない部分が最後のしわ寄せとしてきたらしく…もうちょっと時間があれば…という感じだったとか。

見てる方からは、そんなことは微塵も感じられないですけどね(;’∀’)

ルパン役声優・山田康雄氏とのやり取り

宮崎監督はアフレコの際、ルパン演じる山田康雄氏に、おちゃらけたセリフを控え、クリント・イーストウッドを吹き替える時のような抑えた声で演技するよう指示したそうです。

ですが、自身でキャラクターを確立していた山田氏は

「今さらごちゃごちゃ言われたくねえよ」

と横柄な態度で吐き捨てたのだとか。

しかし試写を見終わった山田氏は、そのレベルの高さに態度を一変「先ほどは失礼なことを申しました。どんな注文でもして下さい」

と宮崎氏に頭を下げたといいます。

そんなドラマのような展開が、この映画の裏に隠されていたんですね!

モンキー・パンチ氏にとって『カリオストロの城』は?

モンキー・パンチ氏2007年&2015年インタビューより

『カリオストロの城』肯定発言

ルパン作品を放送していた日本テレビでは、朝の情報番組「スッキリ」でモンキー・パンチ氏の過去のインタビューを放送。その中では、モンキー・パンチ氏が『カリオストロの城』に言及する場面もありました。

・2007年の「スッキリ」でのインタビューでは「宮崎さんのカリオストロは好き」と語っていたモンキー・パンチ氏。

さらに「あれを見た時に、ルパンの材料っていうのはいろいろあるんだなって思いました。作る人によって。だから作る監督さんによって全然違うし、それぐらいルパンのキャラクターは便利なキャラクターなのかなと」

と振り返っていました。

この宮崎版ルパンに「カリオストロを見て逆に僕の方が刺激された」とも。

2015年にも「僕のルパンというより、宮崎さんのルパンですよ」と話されています。

『カリオストロの城』否定発言?

「これは僕のルパンじゃない」というモンキー・パンチ氏の発言が一人歩きし、
宮崎駿監督を否定していると誤解されてしまったことがあったらしいです。

モンキー・パンチ氏は
「日本国外のルパンファンの95%は『ファンになったきっかけ』として
本作を挙げる」と、宮崎監督の功績をたたえています。

が、2007年7月『ルパン三世シークレットナイト』(新文芸坐)の試写会後の取材で
このように話されています。

「『これは僕のルパンじゃない』って言ったんですね。

『僕には描けない、優しさに包まれた、宮崎くんの作品としてとてもいい作品だ』って。

でもこの後半の部分が削られて、最初の一言が大きく取り上げられちゃいましてね(苦笑)

僕のルパンは毒って言うか、目的のためなら手段を選ばないところとか、欲望とか人間の汚いところとか持ったキャラクターですからね。あんなに優しくは描けないなぁ」

マスコミの取材・報道では、どこで切り取られるかによって、まったく真逆の意味になってしまうんですね。

それによって生じた大きな誤解だったことがわかりました。

1996年のインタビューより


さかのぼりますが、先ほどのインタビューの約10年前、1996年のものを見てみると、モンキー・パンチ氏の発言の一貫性が明らかになると思います。

劇場版『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』で初監督を務めた時の公開前インタビューでモンキー・パンチ氏は、このように語っていました。

「『ルパン三世』は1967年からだから来年で30年になるんです。テレビアニメーションがスタートしたのは71年だから今年で25年。考えてみると長いね。」

「宮崎ファンは凄いですね。僕はインターネットをやっているけど、未だにあの人の影響は強いですね。アメリカでもヨーロッパでも『ルパン三世』を知っている人はほとんどが『カリオストロの城』からですからね。

物語の面白さもそうですが、その凄さは、僕とは違う『ルパン三世』を出した感じがします。

僕の原作の場合は毒があって、女性に対する優しさはあるけれども、ああいう優しさはないんですね。わりとクール。それに対して宮崎さんは宮崎さん流のルパンを出した。

ただ問題は『カリオストロの城』以後、作る人がみんな宮崎さんに引っ張られている。だからルパンが優しく優しくなって、女の子が倒れたら手を貸して起こしてあげるようなルパンばかりで、もういい加減にしてくれと言いたくなる。」

今回モンキー・パンチ氏自身が監督をするのは、そういう理由からかとの問いに、

「そうです。本来のルパンはそうじゃないんだからと。あれは宮崎さん流のルパンであって、それは宮崎さんにしか描けないもの、

宮崎さんの優しさが出たものでしょうが、僕はそうではなくて、女性が転んでもそれに手を貸して起こしてあげるルパンではないんだということを今回は出していますね。」

「違いを出そうというよりも、僕が原作で考えたそのままのルパンを出したい。絵コンテを見ても、本当にルパンが優しいんだよね。もういいかげんやんなっちゃうの。

だからね、今回は絵コンテマンと喧嘩状態でしたよ。」


モンキー・パンチ氏が絵コンテもずいぶん直したのか、との問いには、

「直しましたね。例えば『爆発が起きたらルパンは女性を抱いて逃げる』というシーン。こんなのはいらない、女性をほっぽりだしても自分は逃げると。

そういう冷たさみたいなものをルパンはもっているのだ、と。戦うときも女の子をかばって戦うなんてしないでいい、と。」

「ハードボイルドタッチを全面に出したい。それとゲーム的な面白さを出したいと思っています。でも思い通りに出来ているかどうかは、僕自身も心配なところがあるんです。

やっぱり初めて監督をやって嫌というほど分かったけど、映画作りは共同作業なんですよね。

要するに僕の場合は漫画を描いて、『ルパン三世』だけでも30年になるわけだから、とにかく漫画の面白さを出したいわけです。

でも演出からするとそれでは駄目で、つまり漫画の面白さではなく映画の面白さを出すべきだと言う。

僕はそうじゃなくて、映画の面白さは十分主張しているわけだから、それ以上 に漫画の面白さを出したい。

だから上がってきた絵コンテを僕が直すと、これでは映画にならないとクレームがつく。僕は映画にならなくていい、漫画にしようと言う。

だからフィルムをつなぎ合わせでどういうのが出来上がるのか、半分は楽しみでもあるけど、半分は不安。果して漫画の面白さが出ているかなっていうね。

そうかと言って喧嘩ばかりしていたら、現場の人だって嫌気がさしてやめたってなったら困るし、そのへんが難しいですね」

そういう中で、監督としてはどこまでやったのか、との問いには、

「もちろん全体です。まず脚本は僕がストーリーを途中まで書いて、その後は口頭で脚本家に伝えた。だから出だしは僕の感じだけど途中から違うなと、シナリオ会議を五回くらいやった。

要するに漫画と映画の大きな違いは、漫画の場合は分からなかったら読み直すことが出来るけど、映画はそれが出来ないこと。

見ていて途中で分からなくなってもそのまま見続けざるを得ないから、それを分かりやすくしないといけない。そうすると僕の漫画の良さが出なくなってくる。

ある程度の分かりずらさは僕の漫画の個性、特長でもあるわけだから、分かりずらいところは見た人が判断してくれればいいと思うんだけど、それでは映画にならないと言われる。

例えば『2001年宇宙の旅』のストーリーが全部分かるかって聞くの。分からないところがあるから何回見ても面白いので、そういう映画もあるとね。

でも、それでは見る側に不親切だとかいうことで、意見が全然違うんだ。結構分かりにくいところもあるから、そういう意味ではシリーズの中に新風は吹き込んでいると思います。
それとゲームの要素がものすごく楽しめますよ。

原作者として宮崎駿監督の『カリオストロの城』を否定しているわけではないのか、との問いには、

「ええ、もちろん否定していません。あれは宮崎さんにしか出せないものですからね。
料理で言えば五人のキャラクターは素材で、その素材だけ変わらなければどう料理しても構いませんよと預けた形ですから。

だからそれは宮崎さんしか出来ないのに、他の演出家が自分の好みではないのにやろうとしているから無理がある。

その人が持っている個性で動かしてくれればいいんだけど、宮崎さんのに引きずられている。

ただ、今アニメーションをやろうとしている人は、宮崎さんの影響が凄く大きいんですね。だからそういう人達が絵コンテを描いてくるから、これじゃ駄目だと言ってしまう。

ほんと、怒鳴り合いですね。僕も腹を立てて途中で降りると言った。ここまできたら絶対に降ろされないだろうと計算してはいたけどね(笑)。

どの世界でもあることでしょうが、すったもんだの末ようやく絵コンテが上がり、あとは僕の意図を汲んでやってくれればいいなと思っている状態ですね。

でも先日何分か見ましたが、結構いいですよ。僕自身も満足してるし、プロデューサーも今までのとは違うねって言っていた。大人っぽくなったし、ハードボイルドになっていた」

<モンキー・パンチ『ルパン三世』初監督の弁より>

つまりモンキー・パンチ氏は、

・宮崎駿監督の『カリオストロの城』という作品や宮崎流の優しいルパン像も「宮崎さんにしか出せないもの」「僕とは違う『ルパン三世』」と、その影響力の大きさや功績、個性も認めて称えている。

・でも、『カリオストロの城』以後、作る人がみんな宮崎監督に引っ張られて、優しいルパンになっていることには不満。

・原作で考えたそのままのルパン=毒があり、もっとクールで、ハードボイルドなタッチやゲーム的な面白さを出したくて、『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』で監督を務めた。

・そのためには、映画の面白さより漫画の面白さを出したい。映画向けに分かりやすくしなくてもいい。

という考え方だったようですね。

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まとめ

モンキー・パンチ氏はどの年代のインタビューでも、自分のルパンとは違うけれど、
一貫して宮崎監督へのリスペクト発言をされていたことがわかりました。

そうして改めて、モンキー・パンチ監督の『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』と宮崎駿監督の『カリオストロの城』とを見比べてみても、面白いですね。

一言で『ルパン』と言っても、いろんな見方ができる『ルパン』シリーズ、
故モンキー・パンチ氏の情熱を感じながら、それぞれの作品をまた味わいたくなりました。

モンキー・パンチ氏のご冥福を心よりお祈りいたします。

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『カリオストロの城』(1979)
『ルパン三世PART1』(1971)
『ルパン三世PART2』(1977)
『ルパン三世PART3』(1984)
『ルパン三世PART4』(2015)
『ルパン三世PART2』(2018)
『次元大介の墓標』(2014)
『血煙の石川五ェ門』(2017)
『峰不二子という女』(2012)
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